念佛式

1巻 中川実範著 長承4年(1135)写 26.4×878.7cm 〔請求記号021.1-32-1〕



本書は平安末期の長承4年(1135)書写の奥書を有するきわめて珍重すべき浄土教系の文献である。ところが巻首を欠いているため、首題並びに撰号が判らないまま本学図書館に伝えられて来た。

本書の著者中川実範(?~1144)は藤原顕実の息子で、はじめ興福寺で法相学を習学し、次いで醍醐寺で密教を受法している。のち東大寺の別所光明山寺に入り、多くの浄土教関係の書を残した。『念佛式』は浄土教の実践法である五念門( (1)礼拝門、(2)讃歎門、(3)作願門、(4)観察門、(5)廻向門 )の行法を説く。インド・中国の経論章疏のほかに『往生要集』が比較的よく引用されており、叡山浄土教の影響が指摘されている。龍谷大学本は、巻末に「長承乙卯歳暮春丁酉日写也 釈種(署名梵字四字)」の書写奥書があり、実範在世中の書写にかかる南都浄土教系資料としてその価値はきわめて高い。

昭和42年(1967)6月に国の重要文化財に指定された。