国宝 類聚古集

全一六帖 藤原敦隆編 平安時代成立 写本 縦二二・三×横一四・二㎝
〔請求記号021-580-16〕



『類聚古集』は、全体として一定の配列方法の見つけにくい『万葉集』の歌を、大きくは長歌・短歌・旋頭歌(せどうか)という歌体別にまとめ、さらにそれぞれを、春・夏・秋・冬・天地・山水などの題材によって分類し、また、春では春の風物や行事の推移の順序に従って配列するというように編集し直したものである。

編者は藤原敦隆(??1120)。したがってその没年(1120)までに成立したことになる。成立後まもなく読まれ始めたようであり、敦隆と姻戚関係にあった源俊頼(1055?1128)が歌作の際に用たり、同時期の歌人藤原仲実(1057?1118)によって編まれた歌学書『綺語抄』に利用されたという。

本書の貴重さの第一は現在に伝えられている『類聚古集』の写本が本書だけであること、第二は『万葉集』の歌を分類・編集した最初の書物であること、第三は万葉仮名で記された各歌の本文の伝わり方や当時の読み方が知られることである。

巻三、四などの巻末には、「一見了」として伏見天皇の宸筆といわれる花押がある。

本書は昭和28年(1953)3月に国宝に指定されている。