[二河白道図]

  • < 前へ
  •  
  •  
  • 次へ >
[二河白道図]

解題

■2023年度展観「〈紫式部〉の物語」29/48
 善導ぜんどう観無量寿経疏かんむりょうじゅきょうしょ』が説く「二河譬にがひ」を表現した仏画。法然ほうねん選択本願念仏集せんじゃくほんがんねんぶつしゅう』や親鸞しんらん顕浄土けんじょうど真実しんじつ教行証きょうぎょうしょう文類もんるい (教行きょうぎょう信証しんしょう)』にこの譬えが引用されて以降、作画されるようになった。水(貪欲どんよく)と火(瞋恚しんに=怒り)の二河に挟まれた白い細道を、極楽浄土に向かう道に譬えている。二河の上部が浄土(彼岸ひがん)、下部が穢土えど(此岸しがん)を表す。此岸(東岸)には送り出す釈迦しゃかが、彼岸(西岸)には迎える阿弥陀仏あみだぶつがそれぞれ描かれる。尾張藩御用絵師・喜田華堂きだかどう(1802~79)の描いた「二河白道図」と酷似しており、関係が注意される。
 中哲裕氏は、「煩悩ぼんのうの河を渡って彼岸に到る」という思想や仏画が紫式部の時代にあった可能性に触れつつ、『源氏物語』における浮舟うきふね物語を読み解いている(『源氏物語の主題と仏教』)。

■2020年度特別展観「禿氏祐祥~知の先人~」
 本図は、中国における浄土教者・善導(613~681)が、その著作『観無量寿経疏』「散善義」にて、極楽往生を求める修行者の信心を守護し、以て外邪異見の難を防ぐための一つの譬喩である。
 その内容は、此岸において群賊・悪獣に追い詰められた行人が火と水の二河を跨ぐ白道を渡りきることで対岸へと歩いていくという話であり、ここで善導は此岸に現世、彼岸に極楽浄土、群賊・悪獣に衆生の持つ煩悩や邪見という譬喩で示した。
 日本においても、法然上人は、その著作『選択本願念仏集』の中で、この二河白道の譬喩を引用し、親鸞聖人も『教行信証』の中で同じくそれを引用している。

 
項目内容
請求記号024.3-294-1
ヨミニガ ビャクドウズ
Niga byakudōzu
資料別名
著者名
著者別名
出版者
サイズ50.8×41.3(cm)
数量単位1(軸)
刊年
コレクション禿氏文庫
OPAC
IIIF ManifestIIIF Icon https://da.library.ryukoku.ac.jp/iiif/130069/1/manifest.json
関連リンク
備考
カット数1
画像種別カラー