首書源氏物語

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首書源氏物語

解題

■2023年度展観「〈紫式部〉の物語」23/48
 『源氏物語』の本文にはじめて頭注(=首書しゅしょ〔かしらがき、とも〕)を付けた板本で、同様の形式は北村季吟きぎん著『湖月抄こげつしょう』(38参照)に継承された。清水婦久子氏によると、本文は万治3年本『絵入えいり源氏物語』(12参照)を底本とし、『万水一露ばんすいいちろ』(板本)をもって校訂したという。他本注記は本文に傍記されている。慶安3年本『絵入源氏物語』(11参照)、『湖月抄』とともに、広く流布。著者の一竿斎は、北野天満宮の社僧能貨のうかとする説が有力。
 展示箇所(第6冊25カット目)は、若紫わかむらさき巻で北山の僧都から光源氏に「聖徳太子の百済くだらより得たまへりける金剛子こんごうじ数珠ずず」が贈られた場面で、光源氏と聖徳太子(22参照)との関係を考える上で重要。